Research topic 3

沿岸生態系の統合モデル開発

サンゴ礁のように非常に遠浅な海域では,流動環境や熱環境,水質などが非常にダイナミックに変動しています.このようなダイナミックな変動下で,サンゴ礁生態系が環境に対してどのように応答するかを探るために,上述のサンゴポリプモデルを3次元流動-物質循環モデルに結合させた生態系の統合モデリングシステムの開発を進めています.

 

サンゴ礁生態系のリーフスケール統合モデル概観 (Nakamura et al., in prep.)

シミュレーションにより再現された、白保サンゴ礁域の全炭酸(DIC)、アルカリ度(TA)および溶存酸素濃度(DO)(上段)および、サンゴポリプモデルにより計算された正味の光合成速度(Pn)、石灰化速度(G)、体内に貯蓄された有機炭素濃度(下段)。

上の図は,開発を進めている統合モデルシステムのシミュレーション結果です.リーフ内のローカルな流動環境や、環境-サンゴの代謝の相互作用による水質の変化に応答してサンゴの代謝が時空間変動していることがこのモデルの数値シミュレーションによって確認されます.このように,サンゴの環境に対する応答を再現できる点がサンゴポリプモデルの最大の特徴です.

今後,このシステムの高度化を図るとともに,このシステムを用いてグローバルやローカルな環境変化に対しサンゴ礁生態系がどのような応答をするかを予測/評価するためのシナリオ解析等を進めていく予定です.