琉球大学の瀬底研究施設で実験を行ってきました。

中村研では上杉(D3)、金子(M1)の2人が2025, 3/6~3/31にかけて沖縄県北部にある琉球大学の瀬底島臨海研究施設に行き、琉球大学栗原研究室、東京大学安田研究室の皆さんと合同でサンゴの飼育実験を行ってきました。

     琉球大学 瀬底研究施設

 

こんにちは!中村隆志研究室M1の金子です!

さて、今回の私たちの実験テーマは、海洋生態系の心臓部とも言えるサンゴ礁、そしてそこに生きるサンゴが、水温や光量の変動にどのように応答するのかを明らかにすることです。皆さんもご存知の通り、サンゴ礁は多種多様な海洋生物の住処であり、食料源や沿岸域の保護といった重要な役割を担っています。しかし、地球温暖化などの影響により、サンゴは「白化現象」という深刻な状態に頻繁に陥っています。これは、サンゴの組織内に共生する褐虫藻という微細な藻類が、ストレスによってサンゴから抜け出てしまう現象で、褐虫藻がサンゴに与える栄養源を失ったサンゴは、次第に衰弱し、最悪の場合死に至ります。

今回の実験では、この白化現象が、異なる水温や光の強さといった環境条件によってどのように引き起こされるのか、そのメカニズムを解明するために、MESAS(メサス)と呼ばれる、野外の自然環境を実験室内の水槽で精密に再現できる設備を使用しました。このMESASを用いることで、私たちは様々な環境条件を制御し、サンゴが示す微細な変化を詳細に観察することが可能になります。

MESASを使った実験の様子

 

さあ、ここからは実験の舞台裏(準備)をご紹介します!

実験を本格的にスタートさせる前に、私たちはまず実験に用いるサンゴの準備に取り掛かりました。具体的には、健康なサンゴをスキューバダイビングでサンプリングし、その群体から、実験用の小さな断片(枝片)を採取、丁寧に作成する作業です。これは、実験の精度を高めるために、サンゴの状態を均一に保ち、水槽内で扱いやすいサイズに調整する重要な工程なのです。

サンプリング当日、瀬底島の海は残念ながら大荒れ模様。水中でバランスを取るのがやっとで、船上からは1~2メートルを超える白波が見えるほどの悪天候でした💦 正直めっちゃ危ない。無理。栗原研の皆さんがいなかったら採取出来てません。

瀬底島周辺の荒れた海

 

その後、採取したサンゴは、研究室に戻ってから一つ一つ丁寧に枝片に加工していきます。まるで職人のように、サンゴを傷つけないように、かつ実験に必要な大きさに成形していく作業は、時間も手間もかかる根気のいる仕事です。今回の実験では、なんと500本以上の枝片を作成しました!朝早くから夜遅くまで、2日間、チーム一丸となって作業に没頭して行いました。粘液でサンゴがすごくぬるぬるしてて新鮮でしたね。おいしくはない。

作成したサンゴの枝片の一部

 

そしていよいよ実験開始!私たちの研究生活は、ここからが本番です。実験期間中は、毎日欠かさずサンゴの健康状態を細かくチェックし、その様子を写真に記録していきます。さらに、サンゴの光合成がどれくらい効率的に行われているかを測るFv/Fmという指標や、光を当てた際のサンゴの反射率を測定するなど、様々なデータを集めました(画像と動画は、Fv/Fmを測定している様子です)。

Fv/Fmの計測の様子 白く見える枝状のものがサンゴ

 

今回の実験はかなり大掛かりなもので、私たちに与えられた休日は、期間中たったの1日だけでした笑。でも、長丁場の実験を乗り切るためには、オンとオフの切り替えが本当に大切!研究室の仲間と協力しながら、実験の合間のわずかな時間を見つけては、思い思いの方法でリフレッシュしていました。

貴重な休み時間には、施設から車でほんの5分ほどの距離にある瀬底ビーチへ足を伸ばし、沖縄の青い海と白い砂浜を満喫しました。波の音を聞きながら生き物を探したり、ダンスしたりして過ごす時間は、日々の研究の疲れを癒す最高のひとときでした(こんな大きいアメフラシは初めて見ました)。

隙間時間に遊びに行った瀬底ビーチの様子

アメフラシ 25cmくらい

 

また、世界最大級の水槽を誇る沖縄美ら海水族館にも行くことができ、ジンベエザメやマンタを見ることができました!🐠🐡 個人的にはコブシメがお気に入りです。可食部位多いし。

美ら海水族館の大水槽

コブシメ Read more

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Shizugawa field survey in winter 2025

こんにちは!修士1年の宮城駿です。 3/20~2/25の期間で、宮城県南三陸沖の志津川湾に調査に行ってきました。 今回の調査は、中村研から中村先生・高橋(M1)・宮城(M1)の他、琉球大学の栗原研が同行しました。

 

志津川湾は南三陸沖に位置し、牡蠣をはじめとする養殖産業が盛んに行われている地域です。

今回の調査では、前回の2024年7月と8月の調査に引き続き、河川及び湾内の水質調査、河川流量・流速の測定、測定機器の回収・再設置を実施しました。

 

河川及び湾内の水質調査は、志津川湾に流入する陸域由来の栄養塩量や土砂量をシミュレーションにより定量化することを目的に行いました。河川の水質調査では、志津川湾に主に流入する6つの河川と北上川を巡り、河川採水とAAQによる水質調査を実施しました。また、湾内の水質調査では、湾内のいくつかのサイトと外洋のサイトにおいて、同様に採水とAAQによる水質調査を実施しました。

また、陸域由来の流入量のシミュレーション実施にあたり、陸域由来の流入源は、河川水由来の他に、地下水由来のものがあります。地下水は井戸などがあれば直接測定が可能ですが、志津川には井戸がなかったため、流入する地下水量の定量化は困難でした。そこで、河川及び海洋における放射性同位体である222Rn(ラドン222)を測定することで、流入する地下水量の定量化に試みました。222Rnは半減期が約3.8日と短く、また地下水中の222Rn濃度は河川や海洋と比較して高い値であるため、222Rnは地下水流動のトレーサーとして機能します。

湾内の調査では、8月から設置していたADCP(超音波流速計, Acoustic Doppler Current Profiler)等の回収を行いました。ADCP(Acoustic Doppler Current Profiler)とは、超音波のドップラー効果(音波が水中の浮遊粒子で反射され、戻ってくる音の周波数が変化する)を利用して、1台で多層の流速分布を得ることができる流速分布計です。ADCPは、牡蠣いかだによる流動抵抗を測定するために設置し、牡蠣いかだの流動抵抗モデル開発は、研究室で開発されている海洋統合型モデリングシステムへ寄与します。

その回収の際に、漁師の方がとれたての牡蠣を船の上でふるまっていただけました。とても美味しかったです!

河川流量の測定を実施しました。河川流量は、流速計で測定される流速と水深から定量化されるため、現地での流速と水深の測定を行いました。冬の川は非常に冷たく、大変な作業でした。また、現地に圧力計(水深)と流速計を設置し、次回の調査まで記録します。

そして、毎度楽しみの豪華な海の幸を宿にて堪能しました!冬の調査であるため、今が旬の牡蠣づくしの料理で、本当に美味しかったです。

また、夏頃に調査を予定しています。今後の報告にもご期待ください!

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琉球大学の瀬底研究施設にて実験を行ってきました。

中村研では高木、河上、上杉の3人が7/1~7/23にかけて沖縄県北部にある琉球大学の瀬底島臨海研究施設に行き、海草やサンゴについて実地調査や飼育実験を行ってきました。

琉球大学 瀬底研究施設

サンゴ班

博士3年の上杉です。

リーフを作るサンゴが、陸からの富栄養化した水の流入に対しどのように応答するのかを調べることが目的で、MESASと呼ばれる野外環境を実験室内で再現できる設備を利用して実験を行いました。

MESASを使った実験の様子

 

実験結果は東京に戻ってから分析し、11月の末にJST(日本学術振興会)主催のCREST・さきがけ領域会議~海洋カーボン~

で発表しました。(詳しくはこちら

出張期間中は実験だけでなく、施設にいた他大学の学生(琉球、広島、早稲田、他フランスやアメリカなど)とシュノーケルに行ったり、BBQをしたり、地元のお祭りに参加したり楽しく過ごしました。(上杉)

 

 

瀬底のサンゴ礁 シュノーケル中に出会ったソライロイボウミウシ

海草班

こんにちは!修士2年の河上裕一です。瀬底では、上杉さんの実験に加えて、中村研の海草チームであるYuta A . Takagiと河上も海草実験と実地調査を行いました!

 かつて大きな海草であるウミショウブなどがあった石垣島などでは海草藻場の減少が顕著にみられており、近年世界的に海草藻場は減少しています.

調査地である備瀬湾は、貴重な海草藻場があり、サンゴと共生している海草も見られる大変珍しい場所でした。この海草を採取し栄養塩添加実験をYutaが、現地の海草に対して樹液流測定実験を河上が行いました。(河上)

 

Seagrass living in symbiosis with corals @Bise Bay

以下は高木による海草班の研究紹介です。

・Measurement of nutrient Read more

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