環境省・環境研究総合推進費のプロジェクト(代表:灘岡和夫)の一環として、現在、石西礁湖の流動を精度良く再現するために多重ネスティング3次元流動モデルの開発に取り組んでいるのですが、ようやく基本フレームワークが完成しましたので、今回は真面目にその内容を紹介します。
この3次元流動モデルはROMS (Regional Ocean Modeling System) をベースに開発を行っています。ネスティングは、台湾から宮古島までを含んだグリッドサイズ1.5kmの計算領域(YAEYAMA1)、石垣島から西表島全域をカバーしたグリッドサイズ300mの計算領域(YAEYAMA2)、石西礁湖にフォーカスしたグリッドサイズ100mの計算領域(YAEYAMA3)の3段階となっています。さらに、YAEYAMA1の境界条件は全球海洋モデルHYCOM からの off-line ネスティングによって与えました。
↑多重ネスティング3次元流動モデルの計算領域
また、気象条件は京都大学生存圏研究所が運営する生存圏データベースによって収集された気象庁のメソスケール気象モデルによる数値予報データのアーカイブを空間内挿することで整備し、潮汐の効果もOTPS (OSU Tidal Prediction Software) を用いて加えています。
以下がそのシミュレーション結果の一例。左が表層の流速で右が表層水温です。
YAEYAMA1
YAEYAMA2
YAEYAMA3
まだテスト段階ですので、この流動モデルの検証を進めるとともに、本来の興味である生態系モデルとのカップリングを行う予定です。